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禊(みそぎ)
第1章 慟哭
彼の住むマンションは、私の家から車で15分ほど走った場所にある。

田舎町なので交通の便は悪く、バスも電車もおおよそ縁がない所を走っている。

タクシーなどは国道で1日立っていても捕まえる自信が私にはない。

そんな寂れた町なので、車は生活の足として必需品なのだが、私には運転免許がない。

今年50才を迎える私は、結局一度も車のハンドルを握る事はなかった。

若くして今の旦那さんと結婚して妊娠した私は、免許を取るタイミングを逃し、子育てに日々追われ、やっと自分の時間が持てる頃には義母が体調を崩し、毎日そのお世話で追われる私にはとても時間の余裕などなかった。
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