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偽善者
第1章 偽善者
「・・・悠里が泣くことなんかなにもないだろ。心配しなくても、このウチで死んだりはしないよ。どこか違うところで死ぬから。それに、俺は幽霊になんてならないよ。ん?でも自殺はすぐ成仏できないとも聞いたなぁ。親の借金のせいで一家心中に巻き込まれる息子というのも、自殺としてカウントされるんだろうか?あーあ、もっと本を読んで勉強しておくんだった。まぁ、とにかく、どのみち悠里には心残りはないから、大丈夫。決して祟ったりしないから」



 わたしは、あの住所に、訪れていた。あのおじさんと河川敷で会ってから、2年が経った、つまり、先週の。



「泣くなって。あ、そうか。さては自分が巻き込まれないか心配してるんだろ?大丈夫だよ。もしケーサツや周りの大人に何か聞かれたら、こう言えよ。なにも知らないって。大丈夫。債権者は頭がいいから。なんてったってヤクザだから、絶対他人を巻き込んだりはしないよ。な?最後の最後に悠里の涙を見て別れるのは嫌だよ。笑ってくれよ。俺、悠里の、その、柴犬みたいな笑顔が、大好きだったんだ」



 土曜日に。大きくなったラッキーに会うため、と、自分に言い聞かせて。



「ほら泣くなよ・・・頼むよ・・・・せっかくの可愛い顔が、真っ赤になってる。・・・もしかしてまだ痛い?そんなに痛かったか?でも最後まではしてない。指入れただけだよ。ほら、血なんて出てないし・・・。ほんとにちょっとだけ、入れてみただけで・・・ほんとは俺のこの、股のあいだにある、ほら、さっき触ったろ?舐めたろ?これを入れるんだぞ?そんなこと考えたら、指なんてなんてことないだろ?ちがうって?じゃあ・・・そうか。ごめん。俺なんかにそんなことをされたのが、嫌だったんだよな」



 でも、ほんとはわたしのためだった。
 わたしが楽になりたかっただけで、ラッキーのことなんか、ほんとはどうだってよかったのかも知れない。
 事実。



「ごめん。ほんとにごめん。悠里は俺のことなんか大嫌いだったよな。こんなブサイクでダサくて冴えない高校生の隣人のことなんて。悠里は優しいから、だからこんな俺と優しく関わってくれてただけ。でもほんとは心の中では俺のことなんてダイッキライキモインダヨ、って思ってたんだよな」


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