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偽善者
第1章 偽善者
 ラッキーは死んでしまっていて、会えなかった。


「悠里もヒカルと同じで、俺のことなんて死んで当然と思ってるよな。そりゃそうだよ。いきなり悠里を後ろから突き飛ばしてケガさせて動けないあいだに部屋に連れ込んで服脱がして膣に指突っ込んで、それだけじゃなくてからだじゅう舐め回してさ、俺のん握らせて無理矢理咥えさせて飲み込ませて、そんなことしたら、死ねって思うよな。そりゃそうだよ。それなのに、悠里は優しいから、死に行く俺のことを思って、こうして泣きながら話を聞いてくれてるんだよな。ひとこともしゃべりもせず、ずっと黙って俺の話だけを、聞いてくれるんだよな。ありがとう、悠里。やっぱり俺、どれだけ悠里に嫌われても、悠里が好きだよ。好きだった。ほんとうに・・・・あぁ、あと、ヨジカン・・・」



 にこやかにわたしを室内、いや、事務所に招き入れたおじさんは言った。
 弟が世話するって約束したのにしないから、責任果たせないならラッキーは殺すよって約束したのに約束を守らなかったから、だからラッキーを殺したって。



「ねぇ悠里?最後の最後にもうひとつだけ、話を聞いてくれよ」



 兄弟というにはあまりに年の離れすぎたおじさんの弟は、悪びれる様子もなく、新しくおじさんに買ってもらったという賢そうな顔をした毛並みのいい柴犬と、ソファで転げまわって遊んでた。マンションなのに、ドタバタ走り回って、ワンワン吠えて、キャアキャア叫んで、楽しそうに、遊んでいた。



「もし、今の話が全部嘘でさ。いや、俺が死ぬのはほんとだよ?親の借金もヒカルのこともホント。そうじゃなくて、俺の話した気持ちが、悠里が好きだって気持ち以外の、死んでもいいって思ってるって気持ちが、嘘だとしたら」



 その子は、ラッキーが死んだと、いいや、殺されたと知って泣いているわたしに、無邪気な笑みを向けて、言った。



「悠里は、俺に、なんて声をかけてくれる?」



 お兄ちゃんがね、ずっと欲しかった柴犬を買ってくれたの。ぼくこれがずっと欲しかったんだー。



「優しい悠里は俺に、なんて、死にたくないけど死ななければならない人生を送る俺に、最後になんて、声をかけてくれる?教えてくれたら、もう、ほんとに悔いはないよ」



 だって最初のお兄ちゃんは柴犬が欲しいって言ったのに、雑種しか買ってくれなかったんだよー?
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