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偽善者
第1章 偽善者
「乱暴なことはしたくなかったんだ。泣かせるつもりもなかったし、怖がらせるつもりもなかった。でもほかに手段がなかったんだ。俺はどうしても、死ぬ前にどうしても、最後に、悠里の、その、いつもはぶっかぶっかのトレーナに隠れている俺の大好きな肩と、スカートから伸びる足の、それらを繋ぐ体幹を、きっと真っ白なんだろうなと何度も布団の中で想像した悠里の裸を、どうしてもこの目に焼き付けておきたかったんだ」




 そのどうしようもなく、張り裂けそうに辛い気持ちが、本当の善意に繋がるんだぞ、と。




「でなければ、この欲望を心に残したまま死んでしまったら、俺はきっと来世で小児性愛者になってしまうと思ったんだ。どうしても悠里の裸が見たかったから、悠里に似た子の裸を見てしまうような人生のカリキュラムを組みます、と、あの世で言ってのけるような。それくらい、強い欲望だったんだ。大好きな悠里の裸を見てみたいという欲望は。だから、俺は今ホッとしてる。これで、まっさらな状態で、今世の人生を終えることが出来るよ」




 そこまで言って、お父さんは手の甲で涙を拭って、先に帰ってるな、と、わたしの頭を優しく撫でて、河川敷に立ち尽くすわたしを置いて、先に行ってしまった。



「ありがとう。悠里、ほんとうに、ありがとう。俺、悠里の裸を見れてよかったよ。やっぱり真っ白だったって確認出来てよかった。これでなんの心残りもないよ。いい人生だったよ。いい親に恵まれ、いい友達に恵まれ、いい環境に恵まれた。だから、4時間後に、楽になれる。人生という苦行から卒業出来る。俺は幸せだよ」



 だから、どうして、あの人が、いつの間にかわたしの後ろに立っていて、立ち尽くしていたわたしの肩を叩いたのか、一体いつからお父さんとのやりとりを、どこから見ていたのか。



「次は、そうだなぁ。次こそは悠里の親みたいなまともな親のもとに生まれたいな。そして、今世で学んだ苦い経験を活かして俺のような子供を救済したいな。うん。夢も果たしたいし」



 いい父親だねぇ、泣けるよ。
 と言いながら笑うあの人の腕の中に、どうしてラッキーがいたのか。



「そして、悠里みたいな・・・もちろん、素敵な女性に成長した悠里、みたいな、素敵な女性を妻として迎えることが出来るような、まともで立派な大人になりたいと思うよ。うん」



 
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