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偽善者
第1章 偽善者
 なのに。
 家について、洗面所で顔と手を洗って、ふと鏡を見上げたら。



「ヒカルにはひどいことをしたよ。男の子だから肛門しかなくてさ、仕方がないから肛門を悠里の膣だと想像して指を入れたりした。一生膨らまないむねを吸って痛がらせたりもした。俺バカだったな。強く吸ったらいつか、ほら。ちょっとくらいは大きく・・・あ、そうだ。今の悠里くらいの胸にはなるかなって、ありもしない期待をヒカルに抱いてたんだ。ヒカルはいつも泣いてたよ。でも俺は黙らせたくて、ほら、親に知られたら面倒なことになるだろ?それで、黙ってるならいつか大きくなったら犬を買ってやるって言ったんだ。あいつ、ほんとに犬が好きだったから。マンションだからうちでは飼えなかったけど・・・ほら、悠里が子犬を拾ってきたことがあっただろ?あのときは一晩中ゴネてたよ。どうしてもうちで飼いたいって聞かないくらい」




 トレーナーの胸ポケットから、ニョキッと、おじさんの名刺が顔を覗かせてた。




「だから犬のハナシは効果てきめんだったよ。ヒカルはピタリと泣かなくなった。ヒカルには酷いことをしたよ。一度だけ、ほんとうに酷いことを・・・そうだ。親の借金を知った日だ。債権者っていう名のヤクザがうちに来た日。ヤクザって言っても、見た目はごくふつうの人だよ。いや、ヤクザというよりお父さんの先輩って言ったほうが正しいのかな。見た目は優しそうなふつうの人だった。俺、ヤクザってもっとおっかない雰囲気の人なのかと思ってたよ。ふつうの人が一番怖いんだな。俺さ、リビングで親とその人が話し合ってるあいだ、今みたいに、俺の部屋で、ヒカルの服を剥いだんだ。なんでだと思う?一億六千万、一家心中、保険金、って単語が聞こえたからだよ。近いうちに俺は親と共に死ななければならなくなるかも知れないと直感して、だから死ぬ前にどうにかして童貞だけは卒業しておきたいという衝動的かつバカげた15歳らしい欲望に駆られて、そして。あぁ、そうだ、さっき悠里にしたみたいに、ヒカルの服を剥いだんだ」



 わたしは怖くなって、すぐ名刺を捨てた。確かに、河川敷でおじさんの顔に投げつけたはずだったのに。どうしてポケットに入ってたのって怖くてたまらなくて、ビリビリに破いてゴミ箱に捨てた。


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