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水蜜桃の刻
第2章 欲情
だから私はそうした。
友達から聞いたことと、自然消滅は曖昧で嫌だからはっきりして──そう、彼に伝えた。
けれど返ってきた答えは『ごめん』の一言。
私のことは嫌いになったわけじゃないけど、同じクラス、同じ部活のその子の方により心が動いてしまったんだそうだ。
『……やっぱり近くにいる子の方が強いってことだよね』
後日、先生に彼氏と別れたことを報告し、続けてそう口にすれば、先生は困ったように微笑んで私の頭を撫でるから……ちょっとだけ、泣けてきた。
別れたとき、しょうがないか……ってそんなふうに思って終わったはずだったのに。
私の方も、結局それだけで済む程度の好きに過ぎなかったんだな、ってそんなふうに感じられたのに。
先生の手が、あったかすぎたから。
だから少し甘えたくなったんだと思う。
私の初恋がそうやって終わってからというもの、先生と、恋愛とか……そういう話をすることが多くなった。
お兄ちゃんが、先生と女の人が一緒にいたところを見たという話を口にしたとき、苦笑いを浮かべて「そんなことより子供は勉強に集中しなさい」と言われた。
……もう子供じゃないもん、と心の中で反論する。
もし私が、今まで彼氏としてきたセックスについて口にしたら、どんな反応をするんだろうとか。
それでもまだ子供扱いするかなとか。
決して口にはしないけど、したところを想像しては、ひとりで楽しくなったりしていた。