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水蜜桃の刻
第11章 その視線


──胸から離した指を、蜜穴に埋めた。
気持ちいいその場所を淡々と押すように擦る。


体内で生まれくるその熱感。
それが私をもうどうしようもなくさせる。
早く放出しなければそれに飲みこまれてしまいそうな、そんな衝動にかられる。
だから私はこうやって、まるで何かに追い立てられるかのようにその熱を解放するしかない。
それ以外にそれから逃れる方法を思いつけないから。


──先生を、想って。
先生に抱かれている私を、思って。
慣れたやり方で、その高みへと一気に駆けのぼって。


欲情するのを、恋だと思うのか。
恋しているから、欲情するのか。


──感じた、その予兆。
程なく迎えた、絶頂。
勝手に身体に入った力が、きゅうっと自分の指を締めつける。
一気に脱力し、空気を欲しがるように再開された呼吸。


微かな声を漏らし続けながら、そんなことを思っていた。
熱を放出したあとの、冷めていく身体と落ち着いていく心。
それらを、ぼんやりと感じながら────。




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