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水蜜桃の刻
第11章 その視線
近くの居酒屋に入り、4人でテーブルを囲む。
初対面の2人は、本郷くんの高校時代の同級生とのことだった。
仲がよく、今も定期的に会って飲みに行ったりしているらしい。
「鈴木さんはビール飲まないんすか?」
みんなはビール、私はノンアルコールのカクテルで乾杯をすると、いかにも体育会系、という印象を受ける太田くんにそう聞かれ、頷く。
「苦いからあんまり好きじゃなくて」
「だからいつも職場の飲み会では烏龍茶とかばっかなんですよね!」
口を挟んできた本郷くんに、うん、と頷くと、さすがよく知ってる~、なんてもう一人の子……佐藤くんが茶化すように口にした。
「うっせ」
すかさず彼に突っ込む本郷くん。
職場では見ない、気心の知れた相手に見せる砕けたその言動は、なんだか新鮮に思える。
「照れんなってー」
「照れてねーし!
……あーもう、お前マジ邪魔」
「お邪魔虫ですいませーん」
「うっわ、イラつく……」
佐藤くんの言葉に苦笑いして溜め息をつくように、こぼす。
「あーあ。俺、鈴木さんとふたりでゆっくり飲みて~」
「……あ? 俺も邪魔だったん?」
太田くんがそれにすかさず突っ込み、ちげーし! と慌てる本郷くん。
ははは! と笑い合う三人に私もつられてしまった。