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水蜜桃の刻
第12章 切迫


不意に、カチャ……とドアが内側に開かれた。


咄嗟に俯いた視線の先には先生の足。
スーツ姿のままのようだった。


「来たんだ」


声が、聞こえた。
私の前に立ちふさがるような形だった先生が、その体を少しずらすようにして私を促す。
俯いたまま部屋の中へと足を踏み入れれば、ドアの閉まる音が背後に聞こえた。


「……何か飲む?」


それどころじゃない私は首を振る。


「……ああ、そっか。
さっきの彼と今まで飲んでたんだもんな」


そんな、棘のあるような言い方をされて、え……?と顔を上げると、口元に微かな笑みを浮かべた先生が私を見ていた。

でも、なんだか目は笑ってない。


「……お酒は飲んでな────」

「別にいいけど」


目を逸らしながら、さらりと私の言葉を遮る先生。
その、さっきとの雰囲気の違いに私は戸惑いを隠せなかった。


先生は冷蔵庫から缶ビールを取り出し、壁に寄りかかるようにしてプルタブをあけ、黙ったまま飲み始める。
ごくりと動く、喉仏。

そのまま、何も話そうとしない先生に、たまらず私は口を開いた。


「……先生」


呼びかけると、視線だけを私に流す。
その形のいい切れ長な目を少しだけ細めて。


「何で……私をここに呼んだの」


その眼差しに魅了されていく自分を感じながら、そう尋ねる。


「何か、話があるの……?」


けれど先生は少しのあいだ私を見つめ、それから逸らした。
また、ビールを飲み、小さく呟く。


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