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水蜜桃の刻
第12章 切迫

「付き合うの?」
先生は私の言葉なんて聞いてもいなかったかのように、さらに深く切り込んでくる。
「……っ、そんなのわかんないっ……!」
私はもうわけがわからなくなって、そんな自分の気持ちにもかけたような言葉を咄嗟に返していた。
「返事してないの?」
そして、俯いたまま、小さく頷く。
ふうん……と先生は呟くと、近くにあったテーブルに缶を置いた。
カタン、という音と共に
「……じゃあまだフリーってことか」
そんな、呟きも。
え……? と、そっと視線を上げれば、私の方に近づいてくる先生。
一気に詰められた距離。
呆然とする私の腕が取られたかと思えば、そのままぐいっ、と引かれる。
バランスを崩した私はベッドに倒れこんだ。
──え?
自分に何が起きているのかわからないまま、私を見下ろすようにしてベッドサイドに立っている先生を見上げる。
「付き合う前なら浮気にはならないよね」
その言葉の意味がすぐには理解できないでいると、先生がシャツの胸元のボタンを片手で外し始める。
「……え……?」
そこまできてやっと自分の置かれている状況に気づいた私は上体を起こした。
乱れていたスカートの裾を直しながら、先生から距離を置くようにベッドの上の身体を動かす。
先生がこれからしようとしていることは、私を想ってのことじゃない。
そう、思った。
どういうつもりなのかはわからないけど、でもそれだけはわかる、って。
……なんで?
私は先生が好きなのに。
なのになんでこんなことになるの?
やだ。
こんなの……っ、嫌────!

