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第12章 切迫

ぐっ、と身体に力を込めた。
そのままベッドからおりる。

先生の脇を通り過ぎようとしたとき、その腕が掴まれた。

あ、とその手を……先生を、見る。


「透子ちゃんだってそのつもりで来たんじゃないの？」


先生を見つめたまま、唇を噛み、首を振った。


確かに、そうなるかもしれないって思った。
先生とそうなりたいとも思ってた。
その身体に触れて、触れられたいって。

でもそれは、こんな形でじゃない。
遊びとかそんなんじゃなくて、ちゃんと先生に想いが通じた上でのそれを私は望んでたから。

だから────。


掴まれた腕を力を入れて振り払う。
落ちていたバックを拾い、小走りでドアに向かう。
ドアノブに手にかけ開けようとしたときだった。


「駄目」


どん、と音がして思わず息を飲む。
先生が、私の身体を両腕で囲むような形でドアを押さえていた。
感じる、先生の気配。
すぐ後ろにその身体はある。


「帰さないよ」

「……っ！」


真上から降ってくるようなそのいつもより低い声。
息遣いさえ感じる。

緊張が私を襲う。
逃げられなくてパニックになってくる頭の中。
じわ……と涙がこみ上げてくる。


「お願い……先生っ……」


何を願うのか自分でもわからないまま、そう言葉にした直後────。