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水蜜桃の刻
第15章 その背中
「なんで……先生っ」
どうして?
どうして突然?
「……飽きたの?」
もう、つまらなくなった?
私の身体、飽きられちゃったの?
「そんなんじゃないよ」
「じゃあどういうこと……!?」
やだ……先生とこれで終わりなんて、いや……!
「先生、ねえ……先生っ!」
また、涙がこみ上げてくる。
先生から終わりを告げられるなんて、考えてもいなかった。
終わるとしたら、私がこの関係に耐えられなくなったときなのかもしれないとだけ、思っていた。
あまりにも突然すぎる展開に頭の中がぐちゃぐちゃになっている。
先生は何も答えず、腕を掴んでいる私の手を解こうとした。
有無を言わせない強さに、呆気なくその手は戻される。
「……じゃあ」
「先生! 待って!」
ドアに向かおうとする先生。
裸のままベッドから降りた私はそのままその背中に抱きついた。
「全然わかんない……!
先生、ねえ、先生……っ!」
ぎゅっと、両腕に力を込めた。
この手を離したら先生は行ってしまう。
私はまた、10年前と同じことになる。
……ううん、あのときよりもっとその苦しみは、きっと。
どうしよう。
どうしたら先生を引き留められる?
何を言えば先生はその言葉を取り消してくれるの────!?