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水蜜桃の刻
第3章 その唇

「ん?」
そのとき、先生が私の方に視線を流した。
その色っぽさを目の当たりにした私の心臓は跳ね上がる。
桃を手にしたまま、ぶんぶんと首を振った。
「……あ、あの……ちょっとトイレ……!」
どうしたらいいかわからなくなって、持っていた桃を皿に戻す。
そのまま私は部屋を出た。
ドアを後ろ手に閉め、大きく息を吐く。
無理。
ほんと無理!
先生のあの仕草はやばいから。
とにかく無理だから────!
よくわからない感情に頭が支配され、荒くなる息を必死で堪え、階段を降りてトイレに入り鍵をかける。
「……っ、はあ……っ────」
便座に座り、大きく息を吐く。
落ち着け、私。
どうしちゃったの。
深呼吸を繰り返す。
それでも動悸はおさまらない。
考えないようにしたかったけど、無視できない、そこの疼き。
さっきから既に気づいていた。
……嘘でしょ。
まさか、あれで?
信じたくない。
私、そこまで欲求不満なわけ?
腰を上げて、ショートパンツとショーツを一気に下ろし、激しく鳴る鼓動を感じながら、そっとそこに視線を送った。
「……やだ」
私、もしかしてほんとに欲求不満かも。
呆然として見つめるショーツの内側。
濡れているのが丸わかりで。
その部分だけ、色が濃くなってて。
先生が桃を食べる仕草に興奮して濡れるって──なにそれ。
正直、自分に引いた。

