この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
水蜜桃の刻
第17章 その心


……少しは、先生の心に何か──良くも悪くも、何か感情が生まれてきてくれているんだろうか。


そんなふうに思いながら、それでもやっぱり何も言おうとしない先生から、視線をキッチンテーブルの上のカップに戻した。


「……考えてみたらいい子になれるはずなんてなかったんたよ。
だって私は家庭教師の先生におねだりして抱いてもらうような子だったんだから」


口にするたびに、また新たな気づきが私の中に生まれてくる。
そう、私はそんな子だった。
先生に欲情して、ひとりでばかみたいに盛り上がって、その後始末を先生にも押しつけるような、そんな人間。


「……もともと、そういう悪い子だったんだから」


シュンシュンと、沸きつつある音に変わっていくケトルを見つめながら私は続けた。


「先生はよく自分のことをずるいって言うけど、そんなの私も同じ。
……なかったことのようにすれば、先生とあと半年はまだ会えるって思ったんだもん。
きっと先生はやりづらかったはずなのに……私に合わせてくれて。だから全然ずるくなんかなくて。
……全部、私が────」

「────な子だと思ったんだ」


……え?


自分の言葉に被せるようにして何か口にした先生のその声はよく聞こえなかった。

聞き返そうとしたとき、カタカタとケトルの蓋が鳴り、慌てて火を止める。

しん、と──途端に何の音もしなくなった。


「……聞こえなかった」


なに? と先生を見れば、深い溜め息が一度大きく吐かれた。

だから──と


「健気な子だと思ったんだよ」


そう、口にする。


「え……」


それは、私のこと────?


/321ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ