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水蜜桃の刻
第17章 その心
私は真っ直ぐなんかじゃない。
ずるいこといっぱい考えてた。
先生とのセックスを思い出していっぱい自分を慰めてた。
いやらしくて、欲しがりな、そんな人間だ。
いい子でいようと思って、そうしたあの半年間。
それが先生に、健気だって思われていたなんて。
でもだからこそ、先生は私を選んでくれなかったというのなら──それって、なんて皮肉な話なんだろう。
でも、いい子でいなかったら先生はきっとすぐに家庭教師をやめていたはず。
……結局、あの頃の私はどのみち先生に選ばれることはなかったのだ。
そう……あのときの先生と私は、どうやったって関係を繋げられなかった────。
「……先生はそのあとの10年間、私のこと、時々思い出してくれたりしてた?」
ぽつりと呟けば、先生は少し間を置いてから
「まあ……約束したからね」
そんな言い方をする。
「……それだけ?」
さっきから聞かされている、先生の私に対する言葉。
ほんの少しでも、私に何かしらの想いは抱いてくれていたのだろうかと。
生徒として以外の感情の有無をどうしても知りたくなってしまう。