この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
水蜜桃の刻
第17章 その心


「……まさか再会するとは思わなかったよ」


掴まれ、壁に押しつけられている手首のその部分の熱さ。
その熱がどんどん広がって、手の平まで汗ばんでくる。


「10年前──俺は透子ちゃんと離れてほっとしたはずなのに。
なぜかそのとき……また会えた、そう思った」


そう……俺はそんなふうに思ったんだ、と。
私から視線を逸らさないまま、そのときを思い出すような先生の表情、そして口調。


「そして、知りたくなった」

「え?」

「透子ちゃんは俺との再会をどう思ってるのか。
俺と同じ気持ちなのか、それとも違うのか」


ぐっ、と掴まれた手首に少し力が加わる。


「……っ……だから先生、私の番号は聞かなかったの?」


はっと、そこに気づく。
あれはそういう意味だったの?

私が連絡を寄越すだろうという確信のもとに、だったんじゃなくて、わからない私の気持ちを知りたいがための。


「……どうして」


心臓の鼓動がまた早くなる。

先生の気持ち。
先生が私を試した理由。
ぐるぐると頭の中で回っている疑問符。想像。そして期待。


「どうして知りたかったの?
……私が先生と同じ気持ちだってわかったらどうするつもりだったの?」


先生から目を逸らさずに私は言った。
ちゃんと聞きたかった。
それを。

ようやく先生がすべてを話そうとしてくれてる。
やっと私たちはちゃんと話ができるんだ。
だから私はもう──退かない。


/321ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ