この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
水蜜桃の刻
第3章 その唇


「先生、おまたせ」


ドアを開け、部屋に入った。
座っていた先生に、おしぼりを手渡そうとしたとき


「あっ」


触れた指先に過剰に反応してしまった私は、それを床に落としてしまった。


「ごめんなさい!
新しいのすぐ持ってくる!」


拾いながら、言う。


もう……本当に何やってるの私────。


「あ、大丈夫大丈夫。
じゃあ洗面所借りていいかな? 
拭くより洗った方が確実だしね」


何でもないようにフォローしてくれる先生の言葉に感謝しながら、私はどうぞ、と伝えた。


「ありがとう」


先生はそう言いながら立ち上がり、ん? と何か気づいたかのように私の顔を覗き込む。


「顔赤いけど……どうしたの?」

「え!?」


指摘された私の心臓は痛いほど波打った。


「何でもない……!」


顔の前で両手を交差するようにして振る。


「でも熱とかあったら」

「ないよ! ないです!」


必死で否定するも、伸ばされてきた先生の手。


びく、と身を竦ませたそのとき。
ひや、と額に当てられた先生の大きな手。


「────っ……!」


やめて。
心臓が、止まる。


息をするのも忘れ、目をぎゅっと閉じたまま、その感触にごくりと喉を鳴らしてしまった。


「……ん。熱はなさそうだね」


離された手に、動揺を必死で隠して


「だから大丈夫だってば、先生!
……早く行ってきて! ね!」


その背中をドアの方へと押す。
おとなしく部屋を出て行った先生。
私はひとり、そこに残されて。


/321ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ