この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
水蜜桃の刻
第3章 その唇
え……?
その感触に、今更ながらそこに視線を送った。
手の中の新しいショーツ。
はっ、と思い出す。
脱いだショーツは確か────。
「やっ……!!」
咄嗟にそれを離してタオルケットの中から頭を出し、置いたはずの場所に手を伸ばそうとした。
でも、既にもう、遅く。
先生は自分の近くにあったそれを先に手に取っていて、無言のまま見ていた。
「……っ!」
先生の手からそれを奪い返した。
ぎゅっと握りしめながら、絶望的な気持ちで俯く。
気づかれた?
これ、汚れてること……先生は気づいたの?
どうしよう。
先生がますます見られない。
心臓が破裂しそうなぐらいにどきどきする。
苦しい。
先生は、何も言わない。
私の心臓の音しか、聞こえない。
……こわい。
だって。
なにこの沈黙。
無理なんだけど。
耐えられないんだけど────。
たまらず、ぎゅっと目をつぶる。
「も、やだ……」
両手で顔を覆う。
いやらしく濡れているショーツ。
お尻だけじゃない……そんなのまで先生に見られてしまったなんて────。
「……ごめん」
先生が、小さく呟く。
「……なんか、ほんと……ごめん」
そう、困ったように。
「保護者のいない家にはやっぱりあがるべきじゃなかったな……」
独り言のような、それ。
え……?
その意味を私が考える間もなく、先生は続けた。
「ごめん、帰るよ」
帰る────?