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水蜜桃の刻
第3章 その唇
そんな私の頭を、不意に先生が撫でてきた。
「……俺、生徒と付き合うとか、無理。
恋愛対象として生徒のこと見たことないし……見ちゃだめだとも思ってるから」
……わかってる。
先生が、基本的に女の子の生徒を持たないようにしてることは前に聞いたから。
私の場合はお兄ちゃんが先生の生徒だったから特別だったってことも。
それに。
彼女がいることだって、ちゃんとわかってる────。
「……それでもいいって言っても……だめ……?」
先生と付き合いたいとかそんなこと考えてるわけじゃない。
でも。
してみたい。
されたい。
いつも頭の中で思い描いていただけのセックス。
憧れの先生との、セックス。
……私、淫乱?
でも誰でもいいわけじゃない。
今は先生だけ。
先生にしか、そういうこと思わない。
「お願い……先生っ……」
再度の言葉に、先生が静かに答えた。
「……それわかってる上で、それでもそう望むの?」
どくんどくんと、うるさい心臓を押さえるように私は胸に手を押し当てる。
「……望んだら、してくれる……?」
上目遣いで先生を見てそっと呟く。
先生が私を見た。
その指先を伸ばし、口元にかかっていた乱れた髪を避けさせる。
同時に吐かれた、深く、長い溜め息。