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水蜜桃の刻
第3章 その唇
そして言った。
「……一度だけだよ」
今回だけ──そう続ける。
「次からはちゃんと生徒やれる?」
何度押さえても……強く押さえてもおさまらない心臓の音をうるさく感じながら、頷いた。
「……約束する。今日だけ。
あとはちゃんと生徒に戻るから────」
こんな機会、きっともう二度とない。
先なんかなくていい。
そんなの最初から無理だってわかってる。
……でもずっと考えてた。
先生に抱かれること。
何度も頭の中ではもう抱かれてた。
けれどそれはあくまでも想像でしかなかった。
それが今、叶うというのなら────。
「……何でも、約束するから……」
先生の腕に、しがみつく。
「……お願い、先生……して、っ……」
その言葉に先生が私の身体を受け止めるようにして、耳元で囁いた。
「誰にも言っちゃ駄目だよ。
……わかるよね?」
こくこくと頷く。
「家の人帰ってくるの……何時?」
「……お父さんは職場が遠いし、お兄ちゃんもいつも夕方……。
……お母さんは、作業のあとにお昼出されるみたいだって言ってた。
だから……早くても13時頃、かな」
先生が、時計を見る気配。