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水蜜桃の刻
第5章 その笑顔


「……先生」


思わず、声をかけていた。


「後悔……してる?」


知らなかった一面を、私に見せてくれたこと。


先生は何も答えない。


「私……嬉しかった。
だから、後悔してないよ……?」


隠してた自分を露わにしたこと。

身体を拭きながら……先生から目を逸らしながら、言う。


「……でも、約束……ちゃんと守るから」


来週からはまた、ただの生徒。

今回だけ。
一度だけ。
そういう約束だったの、ちゃんと覚えてるから。


拭き終わった身体に、下着をつけた。


「……誰にも、言わないからね」


だって、せめて……先生が先生じゃなくなるまでのあと半年。
いい……生徒のままで。
そうして、いたい────。


ゆっくりと、先生が振り向く。
私を見ながらゆっくりと近寄ってくる。
そのままぎゅっと、その胸に私は抱き寄せられた。


「……先生……?」


戸惑いながら呼びかけると、耳元で小さく囁かれた言葉。


『いい子だね────』


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