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水蜜桃の刻
第2章 欲情

毎週土曜に会う、私の先生。
彼からは「男の家庭教師とかマジで心配なんだけど」と何度も言われていた。
でも、先生は私にとってそういう対象ではないと思っていたし、同様に、先生にとってもそうだと考えていた。
だいたい、先生が来るときはお母さんがいつも家にいる。
なのにいったい何が起こるって言うんだろう。
私はいつも、そうやって彼の心配を笑い飛ばしていたのだ。
……そう。
先生はただの家庭教師のお兄さん。
話上手で。教え上手で。
だからもちろん、憧れはしたけれど。
整ったその顔。
黒縁の眼鏡が真面目そうに見えた。
問題が解けたときによく見せてくれる、白い歯をのぞかせてにっこりと笑うその表情が私は大好きで。
そんな邪な思いもあったけど、先生の指導は本当にわかりやすかったし、ずっと教えてもらいたかったから、勉強もそれなりにきちんとやっていた。
だから先生から見た私はきっと『真面目ないい生徒』だろうと、そう思う。

