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秘愛
第2章 動き出す・・
虎の門から銀座線に乗り込み、銀座で降りた。
孝明が一人飲みしようとしていた店は高架下の焼き鳥屋。
さすがに先輩女子を連れていくのは気が引けたので、
同じ高架下にあるドイツ料理の店を提案した。すると・・
「ねぇ、私さ、ああいうお店、入ったことないのよ」
言いながら指差したのは、孝明が行こうとしていた焼き鳥屋だった。
「やっぱ普段はこじゃれたイタリアンでワイン、とかですか?」
「そればっかりじゃないわよ。居酒屋も行くし。
でもこぎれいで個室になっているような店ばっかりだからね。
あんなふうにひしめき合って座るような店、ちょっと冒険してみたかったんだぁ。
ね、あそこがいい!」
甘ったるい声でねだりながら、孝明のスーツの袖を引っ張った。
「はいはい、わかりました。ではこちらへどうぞ」
孝明は無意識のうちに遙香の背中に掌をあてた。
そっと押された遙香は、その手を受け入れたまま店の扉をあけた。