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秘愛  
第2章 動き出す・・
イラだちを感じさせる語尾に、遙香はゆっくりと顔をあげた。

孝明を盗み見るような上目づかいが、遙香のものとは思えないような、
おびえた眼だった。

「・・ごめんなさい・・ちょっと・・言いすぎました・・すみません・・・」

深々と下げた孝明の頭のてっぺんを、遙香は指でピシッとはじいた。

「痛ってぇ!」

「そんなにマジで頭下げるな!言われて当然なんだから・・
 でもね・・そんなふうにちゃんと怒ってくれる人・・いなかった・・」

うるんだ瞳で笑いかけられて、心の中にも体の中にも、
キュンとした甘酸っぱさの光が走り抜けていった。
こんなにも愛らしい女が成さぬ相手を選んでしまった理由はなんだろう?
彼女の心を掴んで離さない男とは、どんなやつなのだろう・・

「聞いてもいいですか?」

「なに?」

「どんな男なんですか?奥村さんをそんなに夢中にさせる男って」

静かに笑う遙香の頬は、柔らかくゆるんでいた。
そんな表情をみせるほど、その男を深く愛しているのか・・
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