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秘愛
第4章 理由
無理やり甘いものに付き合わされて、と眉をしかめていた孝明も
いざ目の前にパフェを置かれると即座にスプーンを手にした。
「なんだ、篠宮くんだって食べたがってたんじゃない?」
「別に!きちゃったから食べるだけですよ」
「へぇ、キミも意外とガンコなのね。もっと素直に自分を認めないと、
かっこいいだけじゃ女も妥協しないわよ」
「いや、その言葉、そっくりそのまま奥村さんに返品しますよ!
だいたい、かっこいいだけじゃないし、オレ」
拗ねた目つきで遙香をにらみ、がつがつとパフェをほおばる姿は
遙香の笑いを誘う。
少し子供っぽい仕草に、遙香は癒された気分になった。
「こんなに好き勝手に言い合える相手なんてそうそういないわよね・・
案外篠宮くんとは気が合うのかもね」
おだやかに微笑まれ、孝明は再び中心に刺激を感じた。
オレだって思うよ、気が合うんだなって・・
照れくさくて、そう口には出せなかったけど
心の中ではうなづいていた。
「きっとオレが人間できてるからかもしれないっすよ」
孝明の減らず口に遙香は声をあげて笑ってから、急に態度を変え静かに頭を下げた。
「篠宮くんのおかげでちょっと復活してきた・・
お礼を言います、ありがとう・・」
背中を丸めていた時の、あの暗さはもう見当たらない。
彼女をこれだけの笑顔にできて、
孝明は大きな喜びで満たされた。