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秘愛
第4章 理由
店を出て地下鉄の駅へ向かう途中、通り沿いにほんの少し歩いたところで
遙香が孝明の腕をつついた。
「どーしたんですか?」
見下ろすと同時に遙香が前方を指差す。
そこは喫煙スペースだった。
「ねぇ、一本だけ吸ってもいい?」
「・・いいですけど・・タバコ、やめられないんですか?」
ペコペコと頭を下げながらバッグからタバコケースを取り出す。
1本を指でつまみあげてから、孝明にバツの悪そうな顔を向けた。
「だって・・口がさみしいんだもの・・」
恥ずかしそうに目を伏せた遙香に孝明は静かに囁く。
「だったら・・
オレの唇、吸ってくださいよ」
「は・・?」
見開いた目で見返してくる遙香にゆっくりと顔を近づけた。
「寂しくなったらいつでも呼んで・・
だからもうタバコは止め・・・」