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白堊の彼方へ
第1章 その温もり
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「あら、有紗ちゃん今日は顔色がいいじゃない」
いつもと同じ看護師さんが私を見ながら微笑んだ。
私はその言葉に曖昧に微笑むと本に視線を戻した。
もうなんども読まれた形跡があるその本を読むことで何かあるとは思えないけれど。
それでも暇つぶしには丁度いい。
ミヒャルエンデの『モモ』
私はこの話が大好きだったらしい。
この白い箱の中に来る前ーー
そう。記憶があった時は。