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白堊の彼方へ
第1章 その温もり
私がここに来てからもうすぐ1ヶ月。
交通事故に遭い運良く命は助かったものの頭を強く打ち記憶をなくした私は最近になってやっと動き回れるようになった。
身体は回復していくのに、私の記憶は全く戻ってこなかった。
この物語も面白くないと言えば嘘になる。
けど、読書家だったらしい私がそこまで惚れこむほどか、と言われたそうでもない気がする。
どうしてこの話が好きだったのか、それさえも思い出せない。
それだけじゃない。
自分の名前さえも教えてもらわなければわからなかった。