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rena's world story☆h.a.s.r.r.y
第6章 ☆SS1: 春雪~キミと出逢った季節~
……体が完全に起きてねぇから
OPENのボタンを押しても、暫く状況の理解が出来なかった。
家族と沙月以外、このマンションを知ってる奴なんていない。
そもそも沙月にはスペアのカードキーを渡してあるから、インターホンを押す必要なんてねぇわけで……
「脛かじり」
寝惚けた頭を覚ますには、充分すぎるインパクト。
玄関のドアを開けると、仏頂面の加賀谷が立っていた。
「お前親からもらってんだろ」
「………」
「俺よりいいとこ住みやがって……マジで腹立つ」
……っていや、違ぇだろ。
本来その不機嫌な顔をするのは俺の方だ。
「……なんで、家知ってんの」
聞きたいことは山ほどあるが、まだ血が回らねぇから
靴を脱ぎ始めた加賀谷に向けて、まずはその質問をしてみる。
「おい、加賀谷…」
「てめぇが俺に住所を教えてきたんだろうが」
「………!」
「行かねぇっつってんのに、何度も何度も。
綾瀬が居ない時はいいとか、今月の泊まっていい日はここだとか、聞いてもねぇ条件までつけて」
「………」
「だから来てやったんだ。感謝しろよ」