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rena's world story☆h.a.s.r.r.y
第5章 ♥離れないで

……莉央……?
ベンチに背中を凭れかけて、莉央が夜空を見上げる。
……その表情がさっきよりも明らかに硬くなっていて
私は少し心配になって、さらに莉央に近付いた。
「ねぇ、どうしたの?」
「………」
「莉央も知っての通り、私は元気だけが取り柄の女だよ。
体力もあるし、病気だってしてないよ…
……!」
莉央の指から、煙草が芝生の上に落ちる。
力の入っていないその手を、私は急いで握り締めた。
「……莉央……」
本当にどうしたんだろう。
さっきまであんなに元気だったのに……
「……莉…」
「俺は」
「……!」
重ねた手を、莉央の手がぎゅっと握り返す。
「……今までも、今日も
散々、加賀谷にかっこつけた事を言ってきたけど」
「……えっ?」
「俺は……無理だ」
その低い声が、少し震えていて
莉央が、ゆっくりと顔を伏せた。
「……もし、お前がいなくなったら
俺は二度と笑えない」
「………!」
「月日が経って、時間が忘れさせてくれるとしても
……あんな風に、前を向くことは絶対に出来ない」

