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rena's world story☆h.a.s.r.r.y
第6章 ☆SS1: 春雪~キミと出逢った季節~
……企画部は、常に時間との戦い。
既に来季の新商品開発に向けて、タイムリミットが近付いている。
だから休前日ともなれば、会社への泊まり込みは当たり前なんだけど……
「……っ ユキ…」
じーんと胸が熱くなって、巻いてくれたふわふわのマフラーを両手で掴む。
たったこれだけで、もう嬉しくて泣いちゃいそうだよ……
「ありがと…」
「あ、怒った?」
「………!」
「ごめんね、生意気言って」
「……えっ!?」
白い歯を見せながらユキが肩をすくめる。
……お、怒る??
「なんでそんなこと…」
「働いたこともない学生、しかも年下に
“ 頑張ったね ” なんて言われたくないよね」
「………!」
「でも、マジでそう思ってるから。
女なんだから、無理しないでよ」
「………っ」
「心配してるんだからね」
……会社から駅までの、ほんの短い距離だけど
銀杏の木が両側に並ぶ道
ユキの左手が私の右手を包み込んで、ゆっくりと歩き始めた。
「………」
早朝にも拘らず、迎えにきてくれて
頑張ったねって言って、優しく微笑んでくれる。
……胸が、きゅんとして困る。