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おなとも!
第2章    
「あなたとはもう終わったの!私にはタケナカ君がいるんだから!あまりしつこかったらタケナカ君に言うわよ!」

 タケナカ君が何者なのか知らんが、マウンテンゴリラ(メス)には新たな恋人がいるらしい。

「そんな」

 といって膝から崩れ落ちたガリ勉風のメガネ男と同じ気持ちに私もなった。

「これからも私と仲良くして欲しいなら、もう二度とこんなことしないで!さようなら!」

 王女は高飛車極まりない発言をしてから苦々しい顔でガリ男を一瞥すると、サッサとドアの向こうに消えていってしまった。

 嗚呼、気の毒なガリ男。吹けば飛びそうなガリ男はしばらくコンクリート床の上で踞り嗚咽していたが、急に思い出したかのように「王女…タケナカから王女を取り返してやる…」などと亡霊のように呟いた後、王女のあとを追ってドアの向こうに駆けて行った。

 屋上に再び静寂が訪れる。

 マウンテンゴリラなんかにフラれたガリ男の境遇に比べたら、私の境遇ってまだマシかも。と思いながらフェンスにもたれる。彫刻刀が突き刺さった背中が痛む。どうしよう。ガリ男よりマシだって言っても生きてたら明日もまたいじめられるしなぁ。

 大きくため息をついた。

 その時、上空から「ヒッヒッヒッヒッ」などという実に気味の悪い笑い声が聞こえてきたもんで背筋が凍った。恐る恐る振り返ると、ドアの反対側に位置するブルーの給水塔の上から、やたらと体格の良い男がハシゴを使ってのそのそ降りてくるところだった。

「撮れた撮れたぁぁ」

 男の手には家庭用ビデオカメラが握られていた。

 いつから給水塔の上にいたんだろう。
 私の存在を当たり前のように認識していたらしい男は私に向かってニヤニヤ笑っていた。
 といっても前髪がやたら長くて口元でしか表情が読み取れない。
 ゲゲゲの鬼太郎、両目見えてないバージョンの髪型だ。
 しかもだらしなく開いた口元から覗く歯は犬みたいに尖っててギザギザ。
 夕焼けが逆光になって赤い後光が射しているようだ。
 なにこれホラーすぎる。

 男は制服の上に着用したグレーのカシミア製と思われる柔らかそうなバーバリーのセーターについた埃を叩き落としながら、

「あんたも見た?」

 と私に尋ね、満足げに撮影内容を確認していた。

「王女だってよ。おもしれぇなぁ」
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