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おなとも!
第2章    
 この発言から察するに、やはり先ほどのやり取りは演劇部の練習などではないらしい。
 ガリ男に対する同情心から「演劇部の練習でありますように」と心の隅で願っていたが、ガリ男、残念。ドンマイ。

 で、こいつは一体なにしてんだ?

「あー、俺?俺は趣味でさぁ、人間観察。毎日ここで撮ってんだよ。屋上に来る人間を。こんなとこに来んのはワケアリな奴だけだからさぁ。ところであんた、死ぬの?」
「えっ」

 私、夕方16時過ぎにしてようやく本日二度目の発言。
 一度目は「ぎゃ~」だったことに比べるとまだマシだが、どちらも意味のある単語ですらない。悲しすぎる。

「死ぬならさぁ、撮ってやるよ。なんなら遺言、聞いてやってもいいぜぇぇ、えへへへ」

 屈託ない、それでいて不気味な笑顔だ。しつこくなるが口元しか見えていない。

「け、結構です」

 咄嗟にリュックを背負い、脱いだスニーカーに足を突っ込む。するとさぞかし残念そうに男は声を上げた。

「なぁんだぁ、死ぬ死ぬ詐欺かよ。つまんねぇなぁ。まぁいいや。俺毎日この時間はここにいるからよぉ、決心したらいつでも声掛けてくれや。撮ってやるから。じゃーなああ、タカハシサチヨさん」

 私の名前を呼んでから、男はひらひらと手を振りつつドアを開け、出ていってしまった。
 男、というか、正確にはクラスメート、なのだが。
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