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おなとも!
第2章    
 そしてイモムシのような速度で一番奥のフェンス前にある雨水用排水口に到着すると、膝をついてしゃがみこんで、しばらく動かなかった。
 私に背を向ける体勢のため、必然的に彼の尻が丸見えの状態である。
 彼の尻は先日法事で会ったいとこの生後8ヶ月の赤ちゃんのソレと同じくらいすべすべで柔らかそうな雰囲気が漂っていた。無駄すぎる美肌だ。

「あー、興奮した!」

 しばらくしてホワムーは立ち上がり、ラジオ体操第二みたいな動きで大きく2回深呼吸すると、何事もなかったかのようにズボンを引き上げた。そして給水塔に登ってカバンを取って、また下りてきた。
 私はまだ、あまりの衝撃に立ち上がれないでいた。
 その間にもホワイトムーミンは満足しきった様子でようやくビデオカメラを拾い上げると、徐ろに録画内容を確認し始めた。

「おおっ、タカハシさんのドン引き顔がよぉーーーく撮れてるぜぇぇ。これで帰ってからもまたヌケるわぁ」

 ホワムーはヴァンパイアみたいに口を三角形に開いてヒッヒッヒと笑っている。
 私は驚いてバネのように立ち上がり、ホワムーの腕に掴みかかった。

「ちょ、ちょ!?どういうことよ!?」

 ブスできもくて友達もいない自殺未遂女であるくせに、たまたま今日に限ってハーパンを履き忘れて来たために、万が一腰を抜かした拍子にパンチラでもしててホワムーにいやらしい目で見られたらどうしようなどという自意識過剰極まりない不安が頭を過ぎったのだ。
 しかしながらそれは不毛な心配であったとすぐに気付いた。

 なぜなら、奪い取ろうとしてすんなりかわされたビデオカメラのモニターに映っていたのは私の絶望的にブサイクなビビリ顔と、卑屈なかたちに崩れた四つん這い体勢のせいでだらしなく捲れ上がった制服スカートの裾から覗いていたのはホワムーレベルの男ですら自慰のオカズに値しないようなセクシーさの欠片もない綿100%のヨレヨレのチェック柄のパンツに覆われた貧相極まりない尻だったからだ。


「へへへ。これはナイスだぜぇ。こないだの王女よりナイスだぁ」


 ある意味、確実に恥ずかしい映像であることに間違いはなかった。
 

「け、けしてよぉ!こんなの、肖像権の侵害だよ!」



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