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彼は天然記念物
第2章 鈍感
直樹side

紫狼兄が帰ったあと、

「直樹~、兄ちゃんと一緒にお風呂入る?」

「入るか馬鹿野郎」

「えー!…小さい頃はよく入ったじゃーん」

風呂から響く兄貴の声。
兄貴は俺の事をなにもわかってない……

俺は……兄貴のことを兄貴だと思ったことなんてないよ……思えない…
…一人の人としてしか認識できない……。


どうして俺って弟なんだろ…

せめて弟じゃなかったら……いや、それでも相手は男だぞ…


「…俺って最低だな……」

どうしてそういう目でしか見れないんだろ。


ガラララ

ピタ…ピタ…


「ふぅ…良い湯加減だったよ~。入ってきなよ~」

「ばっ!馬鹿野郎!!裸で出てくんな!」

「なんでよ~…暑いんだよ…」

「…ッ……もういい!入ってくる!!」

はいはいと後ろで手を呑気に振ってる兄貴に一括いれてやりたいもんだ。

裸なんて見たら理性が保たない!


「……クソッ!」


なんとか兄貴を嫌いにならなきゃ…




これ以上好きになってはいけないのだ。

俺はこの日から女遊びに入り浸ることになった。
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