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彼は天然記念物
第2章 鈍感

「~~~でさ~………」

つまらない。

なんだこの話。

恋バナばっかりだ。

「………聞いてる?」

「聞いてるよ」

「そ。でさ~………がさ~………」

また始まった。

あーあ、つまんねえ……

「………ん?」

チラリと視線をずらした先には、
雪久と紫狼兄と笑いながら歩く兄貴。
兄貴はこっちに気づいて、手を振ってきたけど無視した。
ここで相手すれば自分が辛くなるだけ。
俺の代わりなんて兄貴にはいくらでもいる。 
俺に無視されたぐらいでへこまないだろう。

「………早く行こう。」

「フフッ…直くんて以外とせっかちなんだね~」

手をとると握り返してきた。気持ち悪い…うえ………

「…手を繋いだぐらいで調子にのるなクソブス」

そう言い放つと女はショックを受けたみたいで急に立ち止まった。めんどくせぇ…

「ひ…ひどい……」

「…悪かったよ!」

立ち止まる女を無理やり引っ張って家に連れ込んだ。
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