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彼は天然記念物
第2章 鈍感

悲しくて、悔しくて…堪らない。
本当は気付いてた。
ちょうど俺を無視し始めた頃からだ。
いつも傍らには女。家にまで女を連れ込んで……
俺がなにかしたのか?
解らない…解らない……
コンコン…
「……有舂兄…開けて……」
「……開いてる。」
ガチャ…
「……話がしたい…」
「……………」
「有舂兄…」
直樹に苛々するのにどうしても自分にまで罪悪感がわき上がる。
「……なんで女遊びなんか始めた?」
「…………まだ話せない。」
「…俺じゃ、頼りないからか。」
母さんと父さんが死んで、俺達三人で暮らしてきたからその反動なのかもしれない。
「違ッ「分かってる…。色々なもん背負わせすぎた。ごめんな。」
直樹の言葉を聞きたくなくて、わざと遮って喋った。
「有舂兄!俺の話を「もう聞きたくない。…出てって………」
直樹は渋々出て行った。
素直じゃない自分が嫌になる。
その日はもう家に居るのが辛くて、紫狼の家に泊まった。

