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彼は天然記念物
第3章 動機

「…………なんですか…」
「……泣いて…んの…?」
よく見れば夕日の光で頬を伝う水滴が輝いている。普段は泣き顔は無様だと思うのに、アイツの泣き顔は表情一つ変えてなくて、とても神秘的だった。
「……だとしたらなにか…?」
「…な、泣くなよ…!」
気付いたら口走っていた。
神秘的で惚れ惚れするのに、なぜか泣いて欲しくなくて、言葉が止まらない。
「な、泣いて欲しくないんだよ!笑ってて欲しい……!」
「……フッ……………そうやって女たちを落としてるの?」
返ってきたのは感謝の言葉でも、満面の笑顔でもなくて、哀れみを含んだ自嘲気味な笑いだった。
「………一人にしてくれるか?あんたなら代わりの女ぐらい幾らでも居るだろ?」
「はっ!?ちょっ、待てよ!」
男は俺の返事も待たずに歩き始める。
オイオイ…今の俺を見ていて落ち度はあったか?
なんでアイツは堕ちない?
…っていうか、俺…今本気になってた…?
そんなことを考えてるうちに男の後ろ姿はだんだんと小さくなっていく。
「…………はあ…」
どうしていいか分からなくて、結局追い掛けることも出来なかった。
「……泣いて…んの…?」
よく見れば夕日の光で頬を伝う水滴が輝いている。普段は泣き顔は無様だと思うのに、アイツの泣き顔は表情一つ変えてなくて、とても神秘的だった。
「……だとしたらなにか…?」
「…な、泣くなよ…!」
気付いたら口走っていた。
神秘的で惚れ惚れするのに、なぜか泣いて欲しくなくて、言葉が止まらない。
「な、泣いて欲しくないんだよ!笑ってて欲しい……!」
「……フッ……………そうやって女たちを落としてるの?」
返ってきたのは感謝の言葉でも、満面の笑顔でもなくて、哀れみを含んだ自嘲気味な笑いだった。
「………一人にしてくれるか?あんたなら代わりの女ぐらい幾らでも居るだろ?」
「はっ!?ちょっ、待てよ!」
男は俺の返事も待たずに歩き始める。
オイオイ…今の俺を見ていて落ち度はあったか?
なんでアイツは堕ちない?
…っていうか、俺…今本気になってた…?
そんなことを考えてるうちに男の後ろ姿はだんだんと小さくなっていく。
「…………はあ…」
どうしていいか分からなくて、結局追い掛けることも出来なかった。

