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彼は天然記念物
第1章 出会い
追いかけっこが始まって約10分。

「おい!待てよ!」
後ろから聞こえる息一つきれていないイケメンボイス。
こちとら走んのに精一杯でなにも言い返せないのに…息一つきれてないとか……おかしいだろ…!


「ッ…はあッ…はあッ…はあッ…うわぁッ!」

ここで余所見をして足下を石に躓かせてコケた。

ズシャッ…

「~~ッ…痛ッてぇ~……」
膝が擦りむけて血が出ている。
それでも立ち上がって、走ろうとしたときだった。

「…つーかまーえた(笑)」

腕はしっかりと捕まえられて払うにも払えない。

「は…ッ放してください……!」

悲願するも男の口角が上がるだけ。

(……ん?コイツ…どっかで見たことが………

「可愛い顔してんじゃん…」

(それに、どっかで……聞いたことある言葉…

整った端正な顔立ち。甘く囁く低声ボイス。男女関係ナシにヤりまくるヤりチン。口説き文句は『可愛い顔してんじゃん』の男。

「…あっ!思い出した!!あんたヤりチ………」

いやいや待てよ……初対面でヤりチンは失礼すぎる。名前だ…名前………

「か……かまり………あんた…香舞李涼太だろ!?」

「あったりー!!俺ってばちょっとした有名人?」

ええ、有名人ですとも。
ヤりチン男の愛称で。




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