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隷従超鋼ヴァギナス [1] 胎動編
第2章 絶望と希望
 ギョオオオオオオオオウ! グワオオオオオオオオオオオオオオウ!

「これはっ……」

 これはわかる。侵略者の巨大機械兵器の叫び声だ。街への襲撃に逃げ惑いながら、何度もその背に聞いた声だ。
 ケイの全身の毛が怖気立つ。

「逃げよう! お姉ちゃん!」
「ま、待って……」

 ケイは英瑠を制して言った。巨大ロボットが二人を守るかのように、背後の叫び声に対して振り返り、身構えていた。

 その向こうから巨大機械兵器が姿を現した。機兵獣と呼ぶ者もいるその姿は小山ほどもあり、様々なタイプがいたが、今、ケイたちの前に現れたのは四足歩行の恐竜のような形状をしていた。

 剣のようなヒレと大きな角を持つ、ステゴサウルスとトリケラトプスを足したような外見の怪獣だった。それが地響きを立てて巨大ロボット目掛けて突進する。

 巨大ロボットもまた突撃し、真正面から機兵獣の巨体を受け止めた。

 グアッシッ!

 轟音が鳴り響く。
 体当たりを受け止めざま、ロボットが体を捻って怪獣を地に転がす。腹を見せた相手に対して何発もパンチを繰り出す。

 ゴオン! グワン! グシャア!

「やっつけてる……あのロボット、敵と戦ってくれてるよ、お姉ちゃん!」
「凄い……勝てそう」

 ところが、特大のパンチをお見舞いするかのように腕を振り上げたロボットは、突然身じろぎすると動きを鈍らせた。エネルギーを失ったかのように、その腕が力なく降ろされる。

「あれ……どうしたの?」

 怪獣が身を起こす。

「やられちゃう!」

 ゴバアッ!

 無抵抗のロボットに角の一撃が浴びせられる。甲冑の巨大騎士が体勢を崩して吹っ飛び、どうと地を揺るがす。

 そのまま再び立ち上がる気配を見せないロボットに機兵獣は興味を失ったかのように、クルリと向きを変えて山間の町々の破壊へと遠ざかって行った。

「お、お姉ちゃん……ロボットやられちゃったの……?」
「わからないけど……私、見てくる! 危ないから英瑠はここにいて!」
「え、ちょっと、お姉ちゃん!」

 ケイは何か予感めいたものを感じて駆け出した。
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