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隷従超鋼ヴァギナス [1] 胎動編
第4章 星宮ユリカ
「れい……じゅう……記憶合金?」
「そう」

 ユリカが頷く。

「隷従超鋼とも呼ばれています。人間の意志に従って変形する合金。それがヴァギナスの構成ユニットに使われているわ。あなたの体験した通り、ヴァギナスは操縦者の意志によって自在に動かせるし、姿も変える」

 それで合点が行った。ケイは自分が乗ったロボットのフォルムや色までが変化したことを思い出した。あの時、形や色を変えろと念じたわけではなかったが、おそらく無意識的な作用も影響を与えるのだろう。

 ユリカがコーヒーをひと口すすって言葉を継ぐ。

「そして隷従記憶合金は人間の性的な神経シナプスに最もよく反応を示すの」
「性的……えええっ」
「これも体験したはずだけど、ヴァギナスは操縦者の性感帯と結合し、その性感を促進させながら動作します」

(そ、そういうことだったの……じゃあ、あの時は私の……せ、性感が……刺激されて……うあああっ……は、恥ずかしい……)

 コックピットでの体験が思い出されて、ケイは顔を赤らめた。

「あら、こういうお話はまだ早かったわね」
「は……えーっと、いやあ……エヘヘ」

 ゆでダコのようになってケイは曖昧な照れ笑いをした。
 そんなケイの様子にユリカがニッコリと微笑み、間を置いた後、改まった態度となった。

「……ところで、銀河さん。今日あなたをお呼びしたのはひとつの大事なお願いがあるからなの」
「は、はい……なんでしょうか」
「私たちはあなたをヴァギナスの操縦者として迎えたいと考えています。もし同意していただけるのならこの書類にサインを……」
「え……ええっ……えええええっ!」

 ケイは驚愕の声を上げた。

(やっぱりまだサインする書類があったんじゃないですか!)

 じゃなくて。

(わ……私がパイロットですってえええええええ!)
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