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情画
第1章 再開
百合と薔薇の絵を飾ることは、最後の賭けだった。

沙絵の人生を歪ませてしまった僕は、彼女が独り立ちするまでは彼女の意見を聞く。それが沙絵への償いだと思った。

何でも言いなりに成るわけでなく、正しい親子関係を形成しつつ、僕の人生の選択という意味で、彼女の意見を取り入れた。

季節の花にメッセージを託した。貴女に帰って来て欲しいと…

でも、あまりに直接的なものは沙絵に許されなかった。

結局、沙絵は約束の18になるまで許すつもりはなかったらしい。

でも、身を持ってわかったんだろう。
本当に愛せる人は、何人もいない。
いや一人しかいないのかもしれないと…

そして、やっと、直接的なメッセージを、百合と薔薇の絵を飾っていいと許された。


さらに沢山の条件を付けてきたが、仕方ない。
彼女の人生の半分を歪ませた罰なのだから…

そして、このメッセージとこれから受ける仕打ちに堪えられないようなら、

いずみとの愛もそこまでと言うわけだ。

訳も判らずこの状況にあるいずみには申し訳ないが、
着物の裾を手繰った時、これだけの反応をみただけで満足した。

もし彼女が怯えて今日限り会えなくてもいいとすら思った。
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