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情画
第4章 深夜
「タイトルは後付けよ。
何でシャッターを切りたいと思ったのか、
紙に焼き付けられた瞬間に名前を与えるなら、何としたらこの瞬間を表現できるのか、
考えて名付けるの。」

「作品は子供、シャッターチャンスは出産なんですね。」

「凄いわね、いずみさん。
やっぱり、理解者だわ。出産は経験ないからわからないけど。」

写真のことを語るときは、体勢以外は沙絵さんは普通に話してくれる。

「それで、『食卓』の感想は?」

ワタシは先ほど感じたままをギャラリーとして話した。

「本当に嬉しいわ。私の思いを代弁してるみたい。
今の課題は、これが、万人に伝わるかどうかなのよ。

日本はだめよ。」

「何でですか?」

「カメラにサイレンサーがついてないし、
つまりは肖像権とかモラルとかいって、美意識より優先すべきものが多すぎるのよ。」

「そうなんですか…」

確かに、この作品を展示したら、騒動が起きるだろう。

もちろん展示を許すつもりはないけど…

「他のも見てて、今日はお父様が縄化粧するわよ。」

昨日見た最初の日に撮られた、ソファーに膝立ちした背面と前面の対の写真には、『欲情』というタイトルと背面の写真に『表』、前面には『裏』と逆の名前がついていた。

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