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情画
第6章 夜明け
コンコン

「沙絵」

「いいわよ。」


「あまり眠れなかったみたいね。いずみさん、眠ってしまったわ。」

「大丈夫そうか?」

「体はね。
でも、何かあったら夜中でも来るようにいったわ。

いいわよね。」

「ああ、もちろんだ。」

「いずみさんのこと大事にするのよ。」

「沙絵に言われなくても…」

「だってお父様って、すぐに身を引いちゃうじゃない。」

「そう言われると…」

「今度逃したら、もうないわよ。」

「わかってる。」

「ああん…今日の躾は無理かしら…」

「言ってることがちぐはぐだぞ。」

「だって、いずみさん可愛いいんだもの。」








あ…寝てしまったんだ。

沙絵さんの背中が見える。テーブルで本か何かを見ているらしい。

先生は薔薇を花瓶に活けていた。

「あ…ごめんなさい…ワタシ…寝てしまったようで…」


「疲れてたのね。」

沙絵さんが振り向いた。
先生は相変わらず無口だった。

「昨日の作品を見て欲しいの。起き上がれる?」

「はい。」

「お父様、ソファーに戻して壁に向けて。」


沙絵さんは病人を起こすように、ワタシの背中に手を添えてくれる。
支えられて立っていると、先生がソファーを動かした。

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