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情画
第10章 四季咲き
「おはようございます。」


今日は絵になる日だ。
着物になり気を引き締めてアトリエに入る。

衣紋掛けに淡い黄緑の着物が用意されていた。


「おはようございます。」

先生は道具を用意して待っておられた。

「どんな絵にしようかと考えてね。
まずはこの着物を羽織っていただけますか。」


絵にされる。それは、先生との愛を感じられる行為。貫くほどの視線を浴びて命を紙に縫いとめられる。
とても緊張していた。


「色絵や情画、色々考えたんですが、日常の仕草から感じられる欲を描いてみようと思いました。」

ソファーベッドに畳が置かれていて、そこに正座を崩した形で座るように促された。

ベッドに上がる時に着物の袖が乱れたけど、そのまま足を投げ出すように座らされる。

片手を畳に付き、もう片方は膝に置いた。

先生が大皿のサラダボールのような花器をワタシの前に置く。
中に水が張ってあった。

一輪の百合が手渡される。

「貴女の足の方を百合の頭に、頭に茎を向けて、気持ち花芯が僕のほうに見えるように活けてください。」

一度足を引き姿勢を正して百合を花器に活ける。

「そうですね。ちょうどいい感じです。
また足を崩してください。手も先ほどのように付いてください。」
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