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情画
第12章 レッスン
「先生はいつ頃から絵描きになろうと思ったんですか?」

「絵描きになろうと思ったのは高校の時かな。

蔵であの本を見つけてからだね。」

「そうなんですか…」

「絵を描くのは好きだったけど、仕事になるとは思ってなかった。

それがあの絵を見て、自分の絵を後世に遺す。儲かるとか食べていけるとか関係ないって思ったんだよね。」

「そんなにパワーがあったんですね。」

「そうですね。」

「じゃあいつ頃から絵を描くのが好きでした?」

「小さい頃からよく絵を描いていたよ。女兄弟の中で遊びに混ぜてもらうのが嫌で一人で絵を描いて遊んでいた。

話すのも苦手でね。学校に上がってからも人前で話すのが嫌で授業中も手も挙げない。

運動や勉強や友達関係で目立つ人を羨ましく思ったけど、苦手なのは変えられない。

そんなときに絵のコンクールがあったんだ。読者感想文の代わりに絵を描くってのが、

クラスの代表に選ばれて、その時に『これが僕の表現なんだ。皆が喋ったり体を動かして自分を表現するのと同じだって』思ったんだ。

それからは、余計に絵に没頭していった。」


「誰かに習ったりしたんですか?」

「美術部に入っていたから基礎は習ったよ。」

「そうですか、描きたいという気持ちはどこから生まれてくるんでしょうね。」

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