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情画
第12章 レッスン
「貴女は何故絵を習いたいと思ったのですか?」

「先生の絵が素敵だったから、先生のように生き生きした絵が描けるようになりたかったから…」

「そうなったでしょうか?」

「わかりませんが、絵を描いているのは好きです。
対象物に没頭して、他のことを一切忘れられるこの時間が…」

「絵を描くことを楽しめているんですね。
それで十分ですよ。
思いがあれば技術はついてくるから…」

「はい。」

「実くんのことですけどね。レッスンしてみましょうか。」

「いいんですか?」

「彼は絵が好きなのだから、その気持ちを大事にしたい。」

「ありがとうございます。」

「具体的にはどうしましょうか。」

「金曜日にワタシが一度帰って連れて来るというのはどうですか?」

「わかりました。そうしましょう。」


先生が引き受けて下さったのが嬉しかった。

沙絵さんのことがなくても、秘密を知らない先生にしてみれば、主人との子供、会いたくないと思っていたかもしれない。

それを純粋に絵を教えて下さるというのが嬉しかった。

そして実に父親と合わせることができるということがなお一層嬉しかった。
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