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情画
第13章 成長
着物を羽織るだけにしてアトリエに行く。
先生がずっと側にいてくださった。

「さあ、ここにかけて」

対面に置かれた椅子に座る。先生がストンと帯を落とされた。

先生も着物の合わせを開かれて椅子に腰掛けられた。
彫刻のような繊細な体が露になりドキリとする。

「お互いを絵にしていくんですよ。」

先生に声をかけられ恥ずかしくなり体が熱くなっていく。

ワタシは慌てて筆を取った。

「鏡のようでしょう。」

先生は穏やかに微笑まれたがワタシはドキドキした。
間近で向かい合いながら互いの体を描く。自らの肌を曝しながら…

まさに鏡で視線を合わせるような恥ずかしさだった。

花以外描いたことのないワタシにはハードルが高い。深呼吸をして紙に向かった。

先生の視線を感じながら描いていく。

目で触れて筆で命を産み落とす作業が始まった。

すうっと先生の筆の音がする。先生が紙に向かっている姿勢を留めていくことにした。

紙に向かう真剣な眼差し、瞳にかかりそうなサラサラの髪、すべてが美しいと思う。

筆の音がするたびに体を擽られる感覚に捕らわれていった。


「休憩にしましょうか。」

1時間余りしたところで先生に声をかけられた。


「先生、抱いてください。」

「昨日ご主人と何かありましたね。」
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