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情画
第16章 露呈
朝、普段より早く目覚めてキッチンにいく。

何事もなかったように振る舞わなければ…

自分に言い聞かせて朝食の支度をした。

主人と実が起きた気配がないので寝室に向かった。

コンコン
「あなた…」

ドアを開けると主人は居なかった。

ベッドも綺麗に片付けられている。

『明日からは帰らない』

主人の言葉を思い出しクローゼットを開ける。
旅行用の大型のスーツケースがない。クローゼットの洋服も半分程になっていたのだ。


はっ…

窓から駐車場を見ると車も無くなっていた。

出ていってしまったんだ。本当に、何も言わずに…

ワタシは力が抜けて座り込んでしまった。


いけない…

実を起こさないと…

寝室をあとにして実の部屋に向かう。

我が子でなければ、別れも告げないのか…

一緒に暮らした期間はなんだったのだろう。

ふと沙絵さんと先生の関係を思い出した。

血は繋がっていなくても親子として暮らした時間があり、離れていてもお互いを意識している。

家族ってそういうものではないか…

自分の子供でないと知ったら、今までの時間が消えてしまうのだろうか…

実に本当のことを言う勇気はなかった。
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