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情画
第17章 新芽
運転をしている洋服姿の先生がすぐ隣にいるのは、新鮮でドキドキした。

「そんなに珍しいですか?
穴が開きそうなんですが…」

「へっ…」

そうだ、先生は冗談がお好きだった。

「じゃあ、こうしていたらいいですよ。」

肩を引かれ、先生に寄りかかる姿勢にされる。

「強敵がいない間しか占領出来ないですからね。」

あ…うふふ…

「実と先生、そっくりでしたものね。」

「後からきた実の行動に、自分が恥ずかしくなりましたよ。

でも実には負けたくありません。譲るつもりはないですから…」

思わず先生の顔を覗きこむ。二人して可笑しくて声を出して笑った。


現実はそんなに甘くないと思い知らされるのはこの後だった。

病院で保険証を求められる。診察後の説明に先生は立ち会われるとしたけれど、関係の欄に配偶者と記入して、そこから尋問を受けたのだ。


「奥様、いや、いずみさんの痣についてですが…」

「はい。」

「夫婦間のDVとして報告すべきかどうかという状況ですが…」

「そういうことはもうありません。僕が守りますから。」

先生は真剣に答えたが、結局、お腹の父親のこと、主人との関係洗いざらい話す羽目になったのだ。
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